こんにちは、喜一です。
ご存じかもしれませんが、喜一では水槽にて伊勢海老と車海老とアワビを活かしております。
来店された方の中には、店主が自分の手で海老を捕まえて、目の前でさばいてくれる様子を
ご覧になった方も多いのではないのでしょうか。
この水槽で活かしている海老にも、実は喜一ならではのこだわりがあります。
そのなかでも、本日は伊勢海老について、「喜一ならではのこだわり」も含めて紹介していこうと思います。
お正月の縁起物としても有名な伊勢海老。
その仙人のような長いひげとは長寿を思わせ、何度も脱皮する様子が立身出世を想起させます。
また、その顔や赤く輝く甲羅は、鎧を纏った武士を連想させ、魔除けの色でもあったことから、必勝祈願にも繋がるとされています。
実は、実際に海老の中でも長生きするものであり、最長だと30年近く生きるとされています。
ただしそれは、天寿を全うした場合のみ。
多くの場合、天敵であるタコに捕食されることが多いため、
平均するともう少し短くなります。
名前の由来はそのまま「伊勢」湾でとれるという理由で名づけられました。
江戸時代以降、高級品として扱われるようになり、区別されはじめました。
「『伊勢』がつくということは、もしかして日本原産のエビ…?」と考えた方、とても察しがいいです!
また伊勢海老は、長寿の象徴とされるように、やはり栄養面でも私たちの健康を支えてくれます。
突然ですが、伊勢海老ってゆでると赤くなりますよね?
あの色素が、実は非常に健康にいいんです。
この色素の名前は「アスタキサンチン」。
もともとは植物由来の色素ですが、食物連鎖を経てエビをはじめとする甲殻類にも含まれるのです。
そしてこのアスタキサンチン、非常に抗酸化作用に優れ、いま非常に注目を集めている色素とのことです。
これにより、皮膚を紫外線から守ってくれたり、疲労回復を促進したり、脳や目の老化防止を手助けしてくれたり…
とにかく、至れり尽くせりなのです。
このように、伊勢海老は見た目だけでなく中身でも、私たちの健康を支えてくれる、大変漢気溢れる食材なのです。
そんな長寿の象徴である、仙人のような伊勢海老。
実は、幼少期はブイブイ言わせていたのをご存じでしょうか。
伊勢海老の幼体(フィロゾーマ)は、海中を漂いながら生活するのですが、これがまあやんちゃなこと。
なんと、クラゲの上に乗って、ついでに栄養補給もしちゃうんです!
漁師からは「クラゲライダー」と言われることも。
「おれも昔、そんな時期があったな…」
と、喜一の伊勢海老も呟いているように感じました(笑)
そんな伊勢海老、本来であれば1月の限定メニューとして提供していましたが、この度
伊勢海老の解禁時期に合わせて、3月まで延長することを決定いたしました。
それも、雲丹を乗せた状態で。
(クラゲじゃありませんよ?)
希少性が高く、旨味も思い出も詰まった伊勢海老…
不意に思い出した方は、是非喜一を思い出していただけると幸いです。
(文字数:1304)
<参考文献>
魚の食べ方探求「伊勢海老の平均寿命は?」https://seafood-reference.com/ebi/iseebi/entry1865.html
魚の食べ方探求「伊勢海老の名称の由来は?」https://seafood-reference.com/ebi/iseebi/entry1863.html
一般社団法人 日本海老協会「海老の健康」
FUJIFILM からだサイエンスLABO「アスタキサンチンの効果・効能」https://ls-jp.fujifilm.com/karada-science-labo/astaxanthin/effects/
若林香織・田中祐志「ジェリーフィッシュライダー:クラゲに乗って浮遊するイセエビ類のフィロゾーマ幼生」タクサ 日本動物分類学会誌No.13(2012)https://www.jstage.jst.go.jp/article/taxa/33/0/33_KJ00008196276/_pdf